ロワールワインセミナー(2012-6-25)

ロワールワイン西田酒店長男norisukeこと西田稚啓です。
ロワールワインセミナーで学んだ地理、気候、歴史についてアップさせいただきます。

6月25日(月)ロワールワイン生産者委員会主催、フランス食品振興会(SOPEXA)運営にてロワールワインセミナーが当店にて開催されました。

ワイン教室が始まって以来、ラングドック・ルーションワインセミナー、ブルゴーニュワインセミナー、ボルドーワインセミナー、アルザスワインセミナーなど過去に色々なワインセミナーがありましたが、このロワール地方が取り上げられるセミナーは今回が初めてです。

さて、ところでロワール地方はいったいどこにあるのでしょう。
というわけでまずは地理について簡単に説明します。

一応、下に地図を載せました。

ロワールワイン

かなりわかりづらいですが、フランス北西部に位置しています。

ちなみにロワールの都市のひとつル・マンからパリまでは北東に約150km、オルレアンからパリまでは130km、

さらにパリからシャンパーニュ地方の都市のひとつランスまでは約100kmあることが地図で調べてみてわかりました。

またロワール地方は北西部に位置していることからわかるように高緯度です。
というわけで晩熟タイプの黒ぶどうには厳しいところなのか、赤ワインよりも白ワインがたくさん作られています。
河の斜面を利用し土壌も良くて、すばらしいぶどうがとれるのです。

ロワール地方は主に4つの地区に分かれております。

まず一番西側に位置している地区はナント。
そこから北東に進むとアンジュ・ソーミュール、

次に南東(ナントではありません)に進むとトゥーレーヌ。
そこからまた北東に進むと中央フランスというふうにわかれます。

メネトゥサロンやサンセールといった馴染みの深い白ワインは中央フランスにあります。

またナントといえば毎年ブームを呼んでいるクラシック音楽祭でおなじみ、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の発祥地。日本では2005年から東京、2008年から金沢でも開催されるようになりました。

また2009年には新潟市と姉妹都市になったので新潟市でも音楽祭が開催されております。

さて、次は気候です。

ロワール地方はパリと同じくらい高緯度に位置しているため寒い気候帯ではないかと思われるかもしれませんが、海洋性気候なので比較的温暖です。理由はメキシコ湾流による海風や湿度が影響しているといわれております。

ただし、一番東部の中央フランス地区は大陸性気候。夏はとても暑く、冬はとても寒い過酷な気候です。

このあたりはブルゴーニュ地方と相通じるものがあります。

最後は歴史です。

ロワール地方は今でこそ観光地となっているようですが、その歴史を紐解けば長くつらい戦火にさらされた街であります。その歴史は古代ローマ時代にまでさかのぼります。

時の皇帝アウレリアヌスが征服し、その都市をアウレリアンと名付け、後にオルレアンとなりました。

オルレアンといえば、そう救世主ジャンヌ・ダルク(1412~1431)です。この当時、15世紀初頭、ヨーロッパでは百年戦争がありました。イギリスとフランスの戦争。

複雑なので端折りますが、オルレアンがイギリス軍に包囲された時に解放したのが彼女。
しかし、その後宗教対立が起こり、彼女は魔女裁判にかけられ、火あぶりの刑に処せられてしまうのです。

灰になるまで焼かれ、その灰は川に流されるという当時としてはこの上ない残酷な刑です。

しかしやがて1920年になると彼女の名誉も回復され彼女はローマ法王により聖人であると認められました。

ちなみにアメリカのミシシッピ川に面するルイジアナ州ニューオリンズ市はオルレアンと関係があるようです。

というのも18世紀初頭、フランスの植民地の一つだったからです。
その名前はオルレアン公フィリップ2世に因むそうです。
そういえばオルレアンのつづりはOrleans、オーリンズのつづりもOrleans。
またニューオリンズといえばディキシーランド・ジャズの発祥地で有名です。
ジャズがオルレアンと関係があったなんて意外でした。

最後に画期的なワイン栽培法について言います。
1930年代、オーストリアの学者、ルドルフ・シュタイナー博士(1861~1925)は

「このまま化学、劇薬を使うと地球はだめになる」と警告し、農薬や化学薬品を一切使わず、土の本来の持つ力をとりもどす栽培法を提唱しました。

それがビオロジック。

それを取り入れた人物の一人がニコラ・ジョリィ。
天体の動きに従って種まきや収穫を行うビオロジックをさらにすすめビオディナミを実践。
彼の名前は今回のセミナーにも出てきます。