1e9f3231.jpg先日10月13日NHKのプロジェクトXで十勝ワインが紹介された。


マダム櫻子はここのワインを最近入荷した。なぜここのワインを入荷したのか、またなぜ国産のワインに彼女はこだわるのか、その思いを今始めて私は知った。


「昭和30年代北海道、池田町では度重なる冷害で、米も豆も全滅。追い討ちをかけるように十勝沖地震。池田町は壊滅状態。


その町でたわわに実っているのは野生の山ぶどうのみ。その山ぶどうにヒントを得てワイン作りに夢を託し、想像を絶する困難を知恵と努力と情熱で克服した池田町に感動。


北限の大地にしっかり育つぶどう品種を探し出し見事なぶどう畑を完成させ、今に至る過程は涙もの。(根性ドラマに値する) 日本人の勤勉さと未知な夢への熱い情熱。それは正に明治維新の頃新潟は上越の豪農、川上善兵衛翁が、私財をなげうって、小作人を救うため立ち上がった姿に重なる。


お米が取れず赤貧にあえぎ、娘を身売りする小作人の惨状に何とか稲田以外の土地に育つ農作物を探し出した。


それは、荒地や斜面でも育ちなおお酒になるぶどうに着眼した。 改良に改良を重ねて(ヨーロッパのぶどう品種は梅雨と豪雪の地ではとても厳しかった)上越独自のぶどう品種、マスカットベリーA、ブラッククィーンなど作り出し、日本のワインの父と呼ばれ今なお感謝と尊敬されていることへとつながる。 原点は地元の苦境にあえぐ農民への深い愛情、又おのれが生まれ育った大地への愛情に他ならない。そのことにガーーーーンとしびれてしまった。」 と、


マダム櫻子は語った。


あまりにも今が豊かで、すぐそこにある危機にも気がつかなくなっている私たち。60年前のあのひどい戦争の記憶も風化されつつある。


でもイメージして欲しい。わずか100年ちょっと前(その頃はちょんまげに日本差し)飲んだことも触ったこともないワインに、一生を捧げ、正真正銘国産のワインを作り出している先人たち(川上善兵衛だけではなく地理も言葉もわからないフランスのブルゴーニュに、明治政府から派遣されてぶどうの栽培とワインの醸造を学び帰国した青年達)の努力と情熱に敬意を表する。


そしてその思いに共感してマダム櫻子は「やっぱりワインは好き」「おもしろくてたまらない!」と、今日も入荷したてのワインの山を眺めてニヤニヤしている。